「極楽通信・UBUD」



古代遺跡ゴア・ガジャ(Goa Gajah)





ウブドの中心地から約4キロ東にあるブドゥル ( Bedulu )村に、11世紀の古代遺跡「ゴア・ガジャ=Goa Gajah」がある。「ゴア・ガジャ」とは、インドネシア語で「象(Gajah)の洞窟(Goa)」の意味。
命名には諸説ある。
1)14世紀にオランダ人の調査隊が発見した時に、埋もれた遺跡の露出した一部分が象に見えたため。実はボモ(Bhoma)像。
2)洞窟内にあるガネーシャ神像が象に似ていたから。
3)そばを流れるプタヌ(Petanu)川が、昔「ルワ・ガジャ(象の川)」と呼ばれていたため。
全貌が発見されたのは1923年のことである。

ゴア・ガジャは、ウブド近郊にある人気の観光名所のひとつ。
ウブドからギャニヤールに向かう幹線道路の右手に、ゴア・ガジャ専用の広い駐車場(料金:バスRp10,000/自動車Rp5,000/バイクRp2,000-)がある。
料金所で入場料(大人Rp15,000-子供Rp7,500-/2017年5月現在)を払って、階段を下りると、左手に森が拓かれた一帯が見渡せる。ゴア・ガジャ寺院だ。遺跡発見後建築された寺院で、特に興味をそそるものはない。遺跡と寺院は、南にあるゴアが管理している。(開場時間:8.00〜17.00)
階段を下りると前面に、新築の大きな建物がある。ワンティランと呼ばれる寺院の多目的集会場だ。
拓けた土地の中央に沐浴場がある(1954年発見)。6体の女神像(ウィデャダリ=Widyadari)から豊富な水が溢れ落ちている。
10〜14世紀に栄えたワルマデワ王朝時代の国王の沐浴場だったと思われる。水で身を洗い浄めながら神々に礼拝していたという歴史がうかがわれれる。インドと同様に、バリの聖域も川や水辺に関係していることが多い。


ゴア・ガジャ


沐浴場の北側(左手)に、ゴア・ガジャ遺跡はある。
洞窟の入口上部にある彫刻がボモ像だ。ボモの顔の横から大きな指先が、岩を引き裂こうとするかのようにのぞいている。ボモは寺院や王宮に門にあるものと同じように、悪しきものから保護する地界の神(魔)だ。
遺跡の外側の岩崖には、数々のレリーフで埋め尽くされている。
ミゲル・コバルビアスの本「バリ島」(関本紀美子:訳)には、『外側に丹念な彫りものがしてあって、様式化された岩や森や波や動物や、恐慌をきたして逃げる人々を表すもので一面覆われている』とある。わたしの鈍い眼では評価できなかったので、引用させていただきました。
洞窟は人の手に寄って掘られたもの。バリでは珍しい固い石だ。ノミの痕が荒々しく残っている。グヌン・カウィ遺跡と同様、伝説の巨人クボ・イオ(Kebo Iwa)が爪で削ったとも言い伝えられている。
高さ2メートル弱×幅1メートル程の門をくぐって中に入ると、5メートル程の回廊の左右に床から約70センチの高さに洞穴が2カ所掘られている。僧侶が睡眠をとった場所だと言われている。
さらに進めば、左右(約13メートル)に伸びた部屋に入ることになる。T字型をした洞窟だ。
正面に、破壊と再生を司るヒンドゥー教のシヴァ神の像(があったのだそうだ)。
右の突き当たりに、シヴァ・リンガ(男根)が3体。シヴァ、ヴィシュヌ、ブラフマのヒンドゥーの3大神を表している。下部には、小さな8体のリンガが取り囲んでいる。リンガ崇拝は「子孫繁栄」だ。


ゴア・ガジャ


左の突き当たりには、高さ80センチほどのガネーシャ神像が鎮座している。ガネーシャは、シバの息子で「富と商売繁盛」の神と言われている。
遺跡は、9世紀中部ジャワで栄えたヒンドゥー教国マタラム王朝の影響を受けていると考えられる。
両側に、やはり床から約70センチの高さに、人が独り座すのにいっぱいの広さの洞穴が15ある。厳しい修行を積み続ける苦行僧たちの瞑想スペースだろう。

沐浴場の右手(集会場裏)に、川に向かって下りる道がある。
せっかくだから、そこまで下りてみよう。
川に大きな岩がゴロゴロしている。よく見ると、岩には彫刻の跡が残っている。
対岸の崖にあったチャンディ(廟)の彫刻群が崩れ落ちたものだ。崩れた原因は、地震かアグン山の噴火か。
ワルマデワ王朝が支配していたと思われるペジェン地域には、岩崖のチャンディ遺跡が多く残っている。
14世紀に入ってジャワ島のマジャパイト王朝がバリ島に侵攻し、ワルマデワ王朝は滅亡した。そしてこの地域は、歴史とともに埋まれてしまった。王宮のあった位置は、今も確認されていない。
長い年月を経て、崩れた遺跡は川の流れに多くを持っていかれてしまったことだろう。


ゴア・ガジャ


川沿いに進むと自然の洞穴があり、古い石像が安置してある。洞穴は、かなり奥行きがあるようだ。コウモリが飛び交っていたので、わたしは入ることをあきらめた。
さらに川に沿って散策を楽しむことは出来るが、ゴア・ガジャからはどんどん離れてよその村に行ってしまう。時間がない方は、ここから崖面に残る遺跡前の道を進み、左折して寺院の裏手に戻ろう。
崖面の遺跡の前の道を進むと、左折して寺院の裏手に戻ることができる。


ゴア・ガジャ


集会場(ワンティラン)の舞台に腰を降ろし、汗が引くのを待つことにした。
アルチャ(遺跡)群を見れば、そこに建造物があっただろうと推測できる。
休憩場もあったはずだ。
静かにいにしえに思いを馳せれば、当時の地形がおぼろげに浮かんでくる。
(「地球の歩き方・バリ島」2012〜13参照)


(2012/10/16)



(2017/01/14)



《 神秘体験ツアー 》


※ブドゥル村の古代遺跡ゴア・ガジャ内で「夜の瞑想」
★ウブド発:7.00pm。約2時間を考えています
★料金:3,000円/1名様(入場料、供物、お布施、正装、日本語ガイド・送迎車代含む)
★満月、暗月、カジャンクリオンの日はお薦め。深夜の瞑想もOKです
☆ゴア・ガジャ寺院のオダラン(寺院祭礼)は、サコ暦の第4番目の月の満月(Purnama Sasih KAPAT)から始まります(11日間)。西暦では、9月〜10月頃にあたります。寺院祭礼にも参加できます。