《バリ島の水利組合システム「スバック」が世界文化遺産に!》
2012年6月24日〜7月06日、ロシア・サンクトペテルブルグにて開催された国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「第36回 世界遺産委員会」にて、バリ島の水利組合システム「スバック」が世界文化遺産として登録された。バリ人の信仰する宗教「ヒンドゥー・ダルモ」の哲学「トリ・ヒタ・カラナ=Tri Hita Karana」に、密接につながる水利組合システムが評価されたようだ。Triは三つ、Hitaは幸せ、調和する、Karanaは原因と言う意味になる。
「トリ・ヒタ・カラナ」とは、バリ人の世界観“Parhyangan(パラーヤンガン)=神と人間” “Pawongan(パウォンガン)=人間と人間” “ Palemahan(パレマーアン)=人間と自然 ”の3つの調和を現している。
登録されたのは「バトゥカル山林保護区内ジャティルウィ地区 (タバナン県)」「 タマ・ンアユン寺院 (バドゥン県)」「 プクリサン川流域 (ギャニアール県)」「ウルンダヌ・バトゥール寺院 (バンリ県)」を含む五つの棚田地域合計約19,500ヘクタールとのこと。
プクリサン(pekerisan)川には、こんな神話が残っている。
それは10世紀頃、バリに栄えたワルマデワ王国時代の神話だ。
その頃、王国はマヤ・ダナワ王が政権を握っていた。
王は、バトゥール湖の神により中国から仏教徒の妃を娶ることを許され。妃は、この地に馴染まず病に倒れた。王は、神に助けを求めたが、神は信仰に誠実でない王を快く思っていなかった。激怒した王はヒンドゥー教の信仰を禁止し、自らを崇拝するように国民に命じた。
妃が亡くなると王は宮殿に籠り、国民から税を絞って富を蓄えた。
王は、非常に残酷な暴君として民(たみ)に恐れられていった。民は、恐怖に怯える生活の中で、隠れながら神に救いを求めた。
このことを知った神は、苦しむ民を救うためにインドラ神を地上につかわせた。
マヤ・ダナワ王は、驚くべき超能力を持つ手強い相手だった。
インドラ神の攻撃に追いつめられた王は、その超能力を駆使して己の姿を様々な形に変えて抵抗する。
まず最初に、マヤ・ダナワ王は椰子の葉に身を変えた。
その椰子の根が腐っていることを見破ったインドラ神は、椰子の葉に矢を放つ。しかし、そのとたん、椰子の葉は消えてなくなってしまう。
その椰子の木があった村は、プスンと名付けられた(椰子の葉をバリ語でプスンと言う)。
次に、王は大きな鳥に変身した。
インドラ神は、この鳥を狙って矢を放つ。これも、たちまちのうちに消え去ってしまう。
大きな鳥が消えた場所は、のちにマヌカヤ村と名付けられた。
マヤ・ダナワ王は山奥に逃れ、毒を含んだ水の出る泉を造った。
インドラ神に従って、兵隊たちが王を追跡して行く。
追跡の途中、兵隊たちは喉が乾き、泉の水を飲んだ。湧き出た水が毒入りだということを知らずに飲んでしまったのだ。
多くの兵が、苦しみもがき死んでいく。
小高い丘の上で、休息していたインドラ神が、異変に気づく。見下ろすと、兵が苦しみ死んで行く姿が見えた。
インドラ神は、すぐさま、丘を降りた。
(※丘は、ティルタ・ウンプル 寺院の東に位置する。ボロブドゥールと同時代と考えられる8世紀の遺跡が残っていて、ストゥーバが再建されている。スバック寺院を中央境内に据えたプグリンガン寺院(Pura Pegulingan)が、今回の世界文化遺産に認定された。プグリンガンは、眠る、横になるという意味。スマル・プグリンガンは、王や王妃が就寝するまで寝室の外で演奏された宮廷ガムラン。)
プグリンガン寺院(Pura Pegulingan)
インドラ神は、手にする剣(keris=クリス)で地上を突き刺した。
そこからは、兵隊たちを生き返らせるための薬効の泉が涌き出してきた。薬効の泉の水を飲んだ兵隊たちは、みるみるうちに息を吹き返していった。
この聖なる泉は、のちにティルタ・ウンプル(Tirta Empul)と名づけられる。
次に、マヤ・ダナワ王は、足跡に化身していた。
インドラ神は、王の足跡を深い川の川岸まで追い詰める。
逃げ場を失った王は、そこで最期を遂げた。
倒れた王の口から、黄金色に輝く水が深い川一帯に流れ込んだ。人々はこの川を「プタヌ(=Petanu・呪われた)」川と呼びようになったという。この川の水で育った稲は切ると血が滲み出すと信じられ、当時は灌漑には用いられなかったと言う。現在は、豊穣な穀倉地帯となっている。
この地域は「斜め方向の足跡」の意であるタンパクシリン(Tampaksiring)と名づけられるようになった。
一方、聖水ティルタ・ウンプルから流れ出た水は、プクリサン(Pekerisan)と名づけらた川の水源となっている。
プクリサンは、Pe-keris-anでkeris(クリス)にpe-anがついた剣の意味だ。
プクリサン川の水は灌漑用水として大変適しているとされ、現在もプクリサン川周辺の水田地帯を潤している。
神を信じないマヤ・ダナワ王に対するインドラ神の勝利は、悪(アダルマ)に対する善(ダルマ)の勝利として記念され、やがてそれは、ガルンガンと呼ばれるようになった。
※ティルタ・ウンプル寺院の オダラン(寺院祭礼)は、太陽と月のサイクルを組み合わせた サコ暦に従っている。毎年、第4番目の月の満月(Purnama Sasih KAPAT)から始まる(11日間)。西暦では、9月〜10月頃にあたる。
初日の満月の夜に、大きな鳥が消えたと伝えられる “マヌカヤ村” から聖なる石が運ばれ、聖なる泉で洗い浄める儀礼がある。この石には、碑文が刻まれていて、ティルタ・ウンプルの起源を紀元962年とし、禊(みそぎ)の儀礼が記されていると言うことだ。
マヤ・ダナワ王によって蔓延しかけた邪悪な性質をなくし、人々がいつも神々に敬虔であるようにと願い、いつの頃からか、泉から湧き出る聖なる水で自らを洗い浄めることが奨励されるようになり、多くの人が沐浴に訪れるようになった。
(2012/10/20更新)
★タンパクシリン村にあるティルタ・ウンプル寺院の古代遺跡沐浴場で「ムルカット(Mulukat)」
ムルカットとは、聖水を頂くとは違った意味で、心身を洗い清める沐浴のこと.
★料金:3,000円/1名様(入場料、供物、お布施、正装、日本語ガイド・車代含む)
約3時間のツアーです。夜でもOK(水は冷たいです)。満月の夜は特にお薦め.
★要望があれば、僧侶によるムルカットを受けられるツアーも用意しております.
☆ブドゥル村の古代遺跡ゴア・ガジャ内で「夜の瞑想」もあります.
※ユネスコ世界文化遺産に登録されたバリ島の水利システム「スバック」を見学するツアーです.
★ウルンダヌ・バトゥール寺院☆コース(6時間30分)
★料金:3,000円/1名様(入場料・日本語ガイド・車代含む)
(最低名人数は2名様/ウブド以外の地域:追加料金1,500円/1名様)
09:00 ウブド発
09:20 テガラランのライステラス
09:50 コーヒー農園
10:50 ティルタ・ウンプル寺院+プグリンガン寺院
13:00 キンタマーニに着く(ランチータイム・各自負担)
14:40 ウルン・ダヌ・バトゥール寺院
15:30 ウブド着
★ジャティルイ・ライステラス☆コース(6時間)もあります.