「極楽通信・UBUD」



ペンジョール(Penjor)





ペンジョール


ガルンガン祭礼日期間にバリを訪れると、日本の七夕飾りに似たペンジョールと呼ばれる竹飾りが、家々の門口に立てられているのを見ることができる。
ガルンガンはウク歴の正月で、210日に一度巡ってくる。
弓状に先をしならせた長い竹竿と椰子の葉飾りのペンジョールは、ガルンガンの前日(プナンパハン)までに必ず立てられる。
日本の門松と同じように、神々を迷いなく迎えるための目印だ。
バリでは、神々と同時に、先祖の霊をお迎えするために立てられる。
日本の七夕飾りも、もともとは、お盆に先祖の霊を迎えるために立てられたと言われ、共通点に興味を惹かれる。
山岳信仰のあるバリでは、神々は“山”いるものと考えられてきた。
ペンジョールは、天と地をつなぐ龍を表しているという説と、山を象徴する説がある。 訪れた神々を手厚くもてなし、1年の豊作を祈願したことには違いない。


ことの起源は、16世紀半ばに活躍した高僧ニラルタに由来するといわれている。
この地上にある生活に必要なものは、すべて神が創造した神からの授かりものと考え、感謝の意味を込めて、大地からの恵みの作物、果物、稲、砂糖キビなど、収穫の一部を供える。
先端には、ポロサンや花をつけ、椰子の葉を見事に細工したサンピアンを飾る。
祝い事の日には、サンピアンはつけない。
また、供物を置く場所として、ペンジョールの足もとにサンガ(祭壇)も取り付けられる。
竹の長さや装飾は、地域によって違う。
特にウブド地域は豪華で、竹は太く長く、割とデザインが統一されている。他の地域は、まったく質素なものだ。シンガラジャ地方は、まさに七夕飾りと同じだ。


ペンジョール
シンガラジャ地方のペンジョール


ペンジョールは、ガルンガン、オダラン、田んぼの儀礼、地霊儀礼の日に立てられる。
名称は、それぞれペンジョール・ガルンガン=penjor galungan、ペンジョール・ピオダラン=penjor piodalan、ペンジョール・ビューククン=penjor biyukukung、ペンジョール・チャル=penjor caruと異なる。
現代では、独立記念の催しものなどの祝い事の日にも掲げられ、これはペンジョール・ヤヤサン=penjor yayasanと言われている。
ペンジョールが2本立っているのは、この家で、結婚儀礼があり家族が増えたということを神々に知らせるためだ。


ガルンガンと満月(プルナマ=Purnama)が重なる時が、5年に1度巡ってくる。
それは「ガルンガン・ナディ(Galingan Nadi)」と呼ばれる。
この時のペンジョールは、いつもと違って、先っぽにクリンチガン(Kelincnigan)というプケチョッ(カタツムリのような巻き貝)の殻で作った風鈴のようなものをつける習わしがある。
地方によって違いがあり、ウブドはプケチョッがぶらさがっていたが、バンリでは、先端がみっつに分かれた竹が立っていた。


ペンジョール
ケチョッがぶらさがったペンジョール


竹の節目についている厚い皮か、ウンタル(ロンタル椰子の葉)で短冊を作り、下にプケチョッ(カタツムリのような巻貝)の殻を糸でぶら下げる。
木でできた丸い枠に、プケチョッのついた短冊を4〜5本取り付ける。
短冊には、それぞれ意匠を凝らした透かし彫りが施され、時には、2段、合計8〜10本の短冊がぶら下がっているペンジョールもある。
さらに、クリンチガンの真ん中には、鳥をかたどった木彫りがぶら下がっている。
家によっては、それが大きな白鳥だったり、小さなフクロウだったり、土産屋で売られているような羽根の動くものだったりする。
それは、見ていて飽きないくらいユニークだ。
時には風にあおられたクリンチガンが、カラカラ・コロコロと涼しげな音でを奏でる。
ガルンガン・ナディのペンジョールは、地域によって違いがある。
例えば、バンリ地方ではクリンチガンをつけず、ペンジョールの先が3つに分かれていて、それぞれの先にサンピアンをつけるそうだ。


ペンジョール
先が3つに分かれtaペンジョール


ガルンガンからの35日後(Buda Keliwon Pahang)、一連の行事が終わり、ペンジョールはお役御免となり外される。


◎ウブドでもっとも美しいと言われるタマン村スリ・ウェダリ通りのペンジョール(2017年4月5日)


◎ペンジョール@カジェン通り(2016年2月10日)