ウブドの数少ない観光地に「猿の森」がある。
「猿の森」は、ウブド南部のニュークニン村との間に残る原生林だ。
サレン王宮のある変則十字路から南下して「猿の森」入口までの道をモンキーフォレスト通りという。
旅行者の主流がバックパカーだった時代に使われた「モンキーフォレスト通り」が、いつの間にか定着したようだ。
街路樹に隠れて表示板が見えないが、正式名は「JL: HUTAN KERA」。
HUTANは森、 KERAは猿のインドネシア語。
バリ語では、猿はWenara 、森はWana。
モンキー・フォレスの正式名称は、「Mandala Suci Wenara Wana」。
パダンテガル村が所有していて森の中には、ダラム寺院がある。
仮埋葬場があり、そこでは火葬儀礼が行われる。
かつては、夜になると前を通り過ぎるのも恐ろしいほどの暗闇になり、物の怪が徘徊する気配を感じたものだ。
今は街路灯が設置され、夜道も明るい通りになっている。
8月20日:真上にあった太陽が少し西に傾いた時間。
猿の森に入るのは、久しぶりだ。
入口はモンキーフォレスト通り側に2カ所、ニュークニン側に1カ所ある。
この日は、モンキーフォレスト通り最南端にある入口から入場。
遊歩道が整備されて少し地形が変わったように感じる。
以前より観光客が賑わっている。
猿の数も増えているようだ。
毛繕いする猿たち。
日向ぼっこの猿たち。
追っかけっこをする猿たち。
動物好きにはたまらない光景が、いたるところで見られる。
特に、小猿は可愛い。
見ていて、心が癒される。
しかし、猿が苦手な私は不注意に歩くわけにはいかない。
巨樹が見える。
樹齢500年と言われている猿の森の巨樹だ。
いつまでたっても500年だが。
バリ語でビンギン、インドネシア語ではブリンギンと呼ばれる。
ガジュマルの一種でヒンドゥー教の聖木だ。
横に伸びた枝から、気根が幾筋も地面を目指して垂れ下がる。
巨樹の向こうは小さな渓谷になっていて、沐浴場があることを私は知っている。
私は、巨樹の向こうへと進んでいく。
気根でできた隙間だらけの吊り橋は、今、龍の掘られた石造りになっている。
橋を渡ると左手に苔むしたコモドドラゴンの石彫がある。
恐竜が出て来そうな原生林に紛れ込んだようだ。
右手には、泉とその向こうに祠がある。
祠の右手は川。
祠と川の間には、奥に進む細い土道があった。
今は、川に張り出すように板張りのデッキができていた。
観光客が手すりにもたれて、対岸で戯れる猿たちを見ている。
デッキはやがてが絶え、コンクリートの階段になる。
階段の向こうに浸食された岩場が見える。
このあたりが、村人の沐浴場だ。
私はこの沐浴場で、よく身を浄めた。
その話は「極楽通信・UBUD/神々に捧げる踊り■第二章・奉納舞踊の一年・その一:プナタラン・クロンチョン寺院」に書いた。
濃い緑の木々に覆い隠された自然に抱かれて、久しぶりに大きな深呼吸をした。
胸いっぱいに自然の空気を吸い込んだ。
沐浴場近くまで、観光客は足を伸ばしてくる。
これでは、オチオチ真っ裸で沐浴できないな。
いたるところに芋が豊富に入った檻がある。
猿たちは、日々の餌に苦労することはないだろう。
もう野生の猿ではない。
ここは放し飼いの猿園だ。
猿たちにとって、それが幸せかどうか?
それは、わからない。
常に満腹のため、観光客にいたずらをする猿はいるだろうが、襲うことはないかもしれない。
ダラム寺院に向かう。
寺院祭礼の際は、正装していれば入場できる。
猿の森も、寺院祭礼の参拝なら入場無料となる。
普段は、閉まっていて入場できない。
ニュークニン側に、散策コースが完成していたので歩いてみることにした。
階段状の屋外ステージがある。
ここは以前、儀礼時の闘鶏場だったところだ。
現在もきっと、闘鶏場として使われるのだろう。
腰をおろしている観光客に、猿がまとわりついている。
観光客からバナナをねだっている。
芋だけでは飽きるのかな。
弁当持参で散歩もいいなと思ったが、これでは落ち着いて弁当も食べられないだろう。
若い欧米人女性が、ミネラルウォーターのペットボトルを猿に奪われたのを目撃した。
女性は、黄色い声を上げて笑っている。
ヒッタクリ猿は、フタを開けようとして噛みついている。
私は、フタが開くのを確認せずに前を通り過ぎた。
鹿が飼われている柵を抜けると、起伏のある林に遊歩道が造られていた。
「ホテル・アラム・インダー」の屋根が見える。
対岸のジャングルの緑が濃い。
のんびり回遊できる。
入場してきた入口に、ゆっくり戻って約2時間。
うっすら汗をかいた散歩コースでした。
★営業時間:8.30am〜6.00pm(年中無休)
★入場料:大人Rp40,000-/
★Tel:+62 361 971304/
★Fax:+62 361 9727744/
★E.mail:info@monkeyforestubud.com/
★www:monkeyforestubud.com/
(2014/08/30)