「極楽通信・UBUD」



65「モンキーフォレスト の散策」





ウブドの数少ない観光地に「猿の森」がある。
「猿の森」は、ウブド南部のニュークニン村との間に残る原生林だ。
サレン王宮のある変則十字路から南下して「猿の森」入口までの道をモンキーフォレスト通りという。
旅行者の主流がバックパカーだった時代に使われた「モンキーフォレスト通り」が、いつの間にか定着したようだ。
街路樹に隠れて表示板が見えないが、正式名は「JL: HUTAN KERA」。
HUTANは森、 KERAは猿のインドネシア語。
バリ語では、猿はWenara 、森はWana。
モンキー・フォレスの正式名称は、「Mandala Suci Wenara Wana」。
パダンテガル村が所有していて森の中には、ダラム寺院がある。
仮埋葬場があり、そこでは火葬儀礼が行われる。
かつては、夜になると前を通り過ぎるのも恐ろしいほどの暗闇になり、物の怪が徘徊する気配を感じたものだ。
今は街路灯が設置され、夜道も明るい通りになっている。



8月20日:真上にあった太陽が少し西に傾いた時間。
猿の森に入るのは、久しぶりだ。
入口はモンキーフォレスト通り側に2カ所、ニュークニン側に1カ所ある。
この日は、モンキーフォレスト通り最南端にある入口から入場。


入口 遊歩道


遊歩道が整備されて少し地形が変わったように感じる。
以前より観光客が賑わっている。
猿の数も増えているようだ。
毛繕いする猿たち。
日向ぼっこの猿たち。
追っかけっこをする猿たち。
動物好きにはたまらない光景が、いたるところで見られる。
特に、小猿は可愛い。
見ていて、心が癒される。
しかし、猿が苦手な私は不注意に歩くわけにはいかない。


遊歩道 遊歩道


巨樹が見える。
樹齢500年と言われている猿の森の巨樹だ。
いつまでたっても500年だが。
バリ語でビンギン、インドネシア語ではブリンギンと呼ばれる。
ガジュマルの一種でヒンドゥー教の聖木だ。
横に伸びた枝から、気根が幾筋も地面を目指して垂れ下がる。
巨樹の向こうは小さな渓谷になっていて、沐浴場があることを私は知っている。
私は、巨樹の向こうへと進んでいく。


ビンギン樹 ビンギン樹


気根でできた隙間だらけの吊り橋は、今、龍の掘られた石造りになっている。
橋を渡ると左手に苔むしたコモドドラゴンの石彫がある。
恐竜が出て来そうな原生林に紛れ込んだようだ。
右手には、泉とその向こうに祠がある。
祠の右手は川。
祠と川の間には、奥に進む細い土道があった。
今は、川に張り出すように板張りのデッキができていた。
観光客が手すりにもたれて、対岸で戯れる猿たちを見ている。
デッキはやがてが絶え、コンクリートの階段になる。
階段の向こうに浸食された岩場が見える。
このあたりが、村人の沐浴場だ。


デッキ マンディ場


私はこの沐浴場で、よく身を浄めた。
その話は「極楽通信・UBUD/神々に捧げる踊り■第二章・奉納舞踊の一年・その一:プナタラン・クロンチョン寺院」に書いた。
濃い緑の木々に覆い隠された自然に抱かれて、久しぶりに大きな深呼吸をした。
胸いっぱいに自然の空気を吸い込んだ。
沐浴場近くまで、観光客は足を伸ばしてくる。
これでは、オチオチ真っ裸で沐浴できないな。


いたるところに芋が豊富に入った檻がある。


檻


猿たちは、日々の餌に苦労することはないだろう。
もう野生の猿ではない。
ここは放し飼いの猿園だ。
猿たちにとって、それが幸せかどうか?
それは、わからない。
常に満腹のため、観光客にいたずらをする猿はいるだろうが、襲うことはないかもしれない。


ダラム寺院に向かう。
寺院祭礼の際は、正装していれば入場できる。
猿の森も、寺院祭礼の参拝なら入場無料となる。
普段は、閉まっていて入場できない。


ダラム寺院 ダラム寺院


ニュークニン側に、散策コースが完成していたので歩いてみることにした。
階段状の屋外ステージがある。
ここは以前、儀礼時の闘鶏場だったところだ。
現在もきっと、闘鶏場として使われるのだろう。
腰をおろしている観光客に、猿がまとわりついている。
観光客からバナナをねだっている。
芋だけでは飽きるのかな。
弁当持参で散歩もいいなと思ったが、これでは落ち着いて弁当も食べられないだろう。
若い欧米人女性が、ミネラルウォーターのペットボトルを猿に奪われたのを目撃した。
女性は、黄色い声を上げて笑っている。
ヒッタクリ猿は、フタを開けようとして噛みついている。
私は、フタが開くのを確認せずに前を通り過ぎた。


ステージ


鹿が飼われている柵を抜けると、起伏のある林に遊歩道が造られていた。


遊歩道 遊歩道


「ホテル・アラム・インダー」の屋根が見える。
対岸のジャングルの緑が濃い。
のんびり回遊できる。
入場してきた入口に、ゆっくり戻って約2時間。
うっすら汗をかいた散歩コースでした。


★営業時間:8.30am〜6.00pm(年中無休)
★入場料:大人Rp40,000-/
★Tel:+62 361 971304/
★Fax:+62 361 9727744/
★E.mail:info@monkeyforestubud.com/
★www:monkeyforestubud.com/


(2014/08/30)





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