「極楽通信・UBUD」



66「バリ人女性の長い黒髪」





長い間、案件であった「バリ人女性の長い黒髪」についてが、やっとまとまりました。
と言っても美容については、まったく疎い私のことなので充分な考察はできません。
もっとも不得意の分野ですが、気になっている案件なので頑張ってみました。


ウブド人の習慣が少し違ってきたと感じる、今日この頃。
そりゃ〜ウブド滞在が四分の一世紀にもなれば、変わるのも必然かもしれないね。
この頃のバリ人、ヘルメットの扱い方が雑になったように思われる。
「神聖な部分である頭にかぶるヘルメットは、直接、床に置いたりしないように」と、私は教えられた。
正装時のウダン(鉢巻き)と同じ扱いである。
滞在始めてすぐに知り合ったワヤン・カルタ君が、宗教心の篤いバリ人だった。
今でも、テーブルなどの上に置くように心掛けている。
バリ人の日常の仕草が変わりつつある。


上半身裸が普通であった時代を経て、ある時期から外出時に肌を露出する衣類はタブーとされたバリ。
太ももを見せるなんて、もってのほかだ。
それが今では、町中でバリ娘がショートパンツはいて闊歩する姿を見かけるようになった。
男性の短パンもあたりまえ。
私はカルタの言いつけを守って、今でも短パンでの外出はしない。
文化が少しずつ変化している。


バリ人女性の魅力の一つである長い黒髪にも変化が起きている。
変遷を調べてみよう。
1990年までウブドに美容院は、モンキーフォレスト通りにある「マリヤ・ビューティ」の一軒だったと記憶している。
当時は、利用する人も少なかったのだろう。
長期滞在の日本人女性の多くは、ビザの書き換えでシンガポールに渡った折りに、美容院に立ち寄っている。
バリ人女性は、長い髪を必ず後ろでまとめる。
まとめていない髪に、悪霊が入り込むと考えられていた。
ボサボサとした長髪を見ると「魔女ランダ」のようだと恐れられたものだ。
婦人たちは、“美源” の白髪染めを使って真っ黒にしていた。
ココナツオイルをたっぷり塗ってツヤツヤだ。
オダランには、既婚の婦人はサングルと呼ばれる付け毛で、未婚の女性はアップにして参拝する。


髪


現在でも、小、中、高の女学生は、お下げ髪が校則だ。
お下げ髪を三つ編みにした娘をよく見かける。
いつかは、校則から三つ編が開放される時代が訪れるのでしょう。
オダランは、彼女たちのハレの舞台。
アップにして、気合いを入れてオシャレをする。
学校を離れたら、押しつけ校則から抜け出したい。
お気に入りの彼の前を、気を引こうと行ったり来たり。


髪 髪


ショートヘアの娘が増え始めた時期があった。
事務系の仕事に就くようになったからだろうか。
公務員や銀行員などに、ショートヘアの女性が多く見られた。
私が芸能を見はじめた頃は長い髪が普通だったが、事務員と二足のわらじをはく踊り娘も現れた。
ショートヘアは、付け毛でごまかせる。
しかし、どうしても自前の髪で踊らなければならない舞踊がある。
それはチャロナラン舞踊劇のシシアンだ。
シシアンは魔女ランダの弟子という役どころ。
ある日のオダランで、チャロナラン舞踊劇の奉納があった。
髪を乱して、おどろおどろしく舞う部分でのショーヘアーは不釣り合いだった。
チャロナラン舞踊劇で演じられる時代は古い。
その時代にショーヘアーはなかっただろうし、魔女の弟子がショーヘアーでは凄みがない。


髪


これまで長い黒髪を後ろで束ねるだけだったバリ娘が、オシャレになった。
テレビの普及、ファッション雑誌の出版などの情報から、流行に敏感になったのだろう。
世界中のどこの国の女性も、オシャレに興味がある。
スーパーやコンビニの開店でシャンプー&リンス&毛染めが手軽の入手できる。
品揃いも豊富になった。
現在ウブドに美容院は、10件以上はあるだろう。
20〜30万ルピアもするストレート・パーマが流行っている。
この金額は、県が決めた初任給100万ルピアの5分の1に近い。
大金を払ってオシャレをする。
その魅力には勝てないようだ。
女性の心理をまったく理解できない私に、その心理を説明することはできない。


髪 髪


ストレートパーマのシシアンと美しくウエーブのかかった長髪のシシアンは、いだだけない。
観客のバリ娘は、栗毛色メッシュの入った長い髪がクバヤの肩を覆っていた。
文化が変化していく。
後ろ姿ばかりの写真でゴメン。


(2014/09/18)




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