「極楽通信・UBUD」



38「カジェン通り(Jl:Kajen)」



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ウブドの変則十字路にある集会場から、ウブド大通りを西へ50メートルほど行くと、右手に北上する道がある。ここがカジェン通りの入り口だ。
名称の由来は、インドネシア独立戦争で戦死し英霊となったカジェン氏の生家があるところからきている。東に並行してあるスウェタ通りも同様に英雄の名前だ。
カジェン通りは、500メートルほどの村道の名称。 道の前に立つと、左手にはホームステイの案内看板が、右手角にはサケナン寺院が見える。


カジェン通り カジェン通り


さあ、それではカジェン通りのジャラン・ジャラン(Jalan-lalan=散策)に出発しよう。
左手に《レストラン・ロータス・カフェ》関係の2階建ての建物と蓮池のあるサラスワティ寺院の長い塀が続いている。建物の1階に、2010年9月9日スターバックス・コーヒーが入店した。
塀に沿ったところは以前(1990年)は小川があり、その向こうに蓮池が見えた。小川では、宗教儀礼に供えられる屠殺した豚の内臓を洗う風景が見られた。


カジェン通り


カジェン通りの最初にあるホームステイは《ロジャーズ》だ。私のウブド滞在は、このロジャーズから始まった。1990年5月から1年間ほど滞在している。


カジェン通り《ロジャーズ》


車のすれ違えない狭い道には、左右30軒ほどの屋敷が軒を連ね、ホームステイを営む屋敷が目立つ。モダンになりつつあるモンキーフォレスト通りと比べて、カジェン通りは田舎の風情を残して発展している。趣のある町並みとして宿泊客に人気が高い。


足下を見るとコンクリート・ブロックが敷き詰められている。コンクリート製の石畳には、一枚一枚にユニークなメッセージが彫り込まれている。沿道の店舗名のほか、在住外国人の名やハネムーン旅行者のメモリープレートなどなど。石畳はツーリストや村人によって寄贈され、それが集落を貫く舗装道になっているのだ。


カジェン通り


《ロジャーズ》の隣は《シティ・バンガロー(Siti Bungalows)》。バリ人女性シティ (Made Siti)さんと、ドイツ人画家ハンスネル(Han Snel)氏の経営。ハンスネル氏は、1999年に没。2011年8月、italian resto《イル・ジアルディノ=il Giardino》オープン。故・ハンスネル氏のギャラリーが併設されていて見学できる。


カジェン通り《シティ・バンガロー》


右手に、スウェタ通りに抜ける車道がある。カジェン通りと並行してあるスウェタ通りは、南下すればウブドに十字路に通じる。


カジェン通り


ホームステイ《アルチャ・イン》には、知人・大原さんが長期滞在していた。よく2人でオダラン巡りをした。遠くカランガッサムの小さな村まで、バイクにまたがって行ったものだ。


カジェン通り《アルチャ・イン》


《アルチャ・イン》の北隣は《ニョマン・ホームステイ》(16番地)。ここは、2006年にレストラン《バリ・ヨガ=Bali Yoga》をオープンしている(2010年10月31日の《ウブドnoニュース》で紹介)。これまであったワルン(簡易食堂)は、近年、お洒落なレストランに様変わりしている。土産物屋やマッサージの店も増えたようだ。


バリヨガ バリヨガ《バリ・ヨガ》


北にのびる道は、奥に行くに従ってゆるやかな登り坂になっている。道は真っ直ぐ続いているが、数歩先には違った瞬間が見られるかもしれないと期待させる何かがある。それは風景なのか村人なのか、それともそこにある音や匂いや風なのか、わからない。
 狭い道をスピードを出す車はいない。一歩一歩足下を確認するように、のんびり歩くことができる。通りでは、子供達や婦人の日常があり、下町の風情を残している。屋敷前で男達が鶏を抱えている姿も見える。塀沿いには、いくつもの鶏カゴが並んでいる。ガルンガン祭礼日に各屋敷の前に飾られるペンジョールが、この狭い道にアーチのトンネルを創る。それは壮観だ。


カジェン通り


さらに歩くと、またスゥエタ通りに抜ける小路が右手に見える。小路を越えるとすぐレストラン《Savannah Moon》。目の前のレストラン《Fortuna》の2階にはマッサージがある。《Fortuna》からカジェン通りを見る景色もよい。


カジェン通り カジェン通り《Fortuna》からの景色


《Fortuna》を過ぎて、すぐ左手にも小路がある。20メートル程先にある小川に通じる小路で、バイクが通るにやっとの道だ。これは精霊の道と言われている。
精霊の道の向こう隣は、スマラ・ラティ歌舞団のリーダー・アノム氏の屋敷。ガムラン・舞踊教室になっているので、教えを請うことができる。2010年2月7日のニュース(ウブドnoニュース(旧))で紹介した《ワルン・ヌガー》は、アノム氏宅の前にある。
アノム氏の屋敷を過ぎた右手にある《スレッズ・オブ・ライフ(Threads of life)》は、インドネシア各地方に伝わる織物をはじめ、民間の伝統工芸を支援しているギャラリーだ。テキスタイルを知るための講座や、織物が体験できるワークショップも行っている。プログラムにないものでも、希望に応じてアドバイスをしてくれる。


カジェン通り《スレッズ・オブ・ライフ》


《スレッズ・オブ・ライフ》の前が、英雄・カジェン氏の実家。《カジェン・ホームステイ》を経営している。坂は、ここからはなだらかに下りとなり、屋敷町は、このあたりで終わる。
奥に進むと右手に階段を登った先の路地が見える。ここを入るとバトゥ・カル(Batu Karu)寺院の前を通って、スウェタ通りに出られる。寺院前では、時々闘鶏をやっている。ケチャが定期公演で日曜日と木曜日に上演されている場所だ。


カジェン通り


《ウブド・サリ・ヘルス・リゾート(Ubud Sari Health Resort)》の前に、ウブド・トゥンガのバンジャール建物がある、その横にある路地を行けば、寺院の裏側からスゥエタ通りに抜けることができる。


カジェン通り カジェン通り


大きく左にカーブする道は、小川に架かる橋に続く。橋の手前には、ウブド・カジョのバンジャール建物がある。
橋を渡ったこの先は「バリ島ウブド・楽園の散歩道」(ダイヤモンド社発売)の、ウブド(サレン)王宮から田園地帯への2時間散歩コースになる。


(2012年8月7日更新)


※《「極楽通信・UBUDウブドに沈没》: 《4)カジェン通りの散歩》は、1990年のカジェン通りの話です。


※カジェン通りの動画(撮影:2015年12月28日)




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