トペン・ムニエール(Topeng Monyer)

トペン・ムニエール
ウオーター・パレスにて
写真提供:田尾美野留氏

 

トペン・ムニエールは、年老いた将軍の面(トペン・トゥオ=Topeng Tua)と、壮烈な踊りのクビヤール・ドゥドゥック(Kebeyar Duduk)の2つの舞踊から創作されたといわれている。
クビヤール・ドゥドゥックからヒントを得たとすれば、トペン・ムニエールの創作年は、北部バリで「稲妻」を意味する「Kebyar」という新しい形態の音楽が創られた1915年以降と考えられる。
正確な時期も創作者もわからない。

 

トペン・パジェガン(Topeng Pajegan)の中で演じられるトペン・ボンドレス(Bondress=民衆の面)の役柄のひとつと考えられるが、人気がないのかあまり見かけることはない。
衣裳はトペンと同じで、主に男性によって演じられる奉納舞踊である。

 

トペンには、マニスとクラスの2種類ある。
マニスの演奏は、ゆっくりで柔らかい。踊りは、ためが重要なポイントで、内面にあるエナジーを絞りだしてゆくように優しく踊る。
クラスの演奏は、テンポが早く激しい。踊りは、外部のエナジーを集め体内で熟成させてから、爆発させるかのように力強く踊る。

 

トペン・ムニエールは、中国人の顔なのか西洋人の顔なのか、どちらとも見える不思議なお面だ。
なまずヒゲが描かれた、そのお面はわずかに微笑んでいるようにも見える。

 

トペン・ムニエール
●伊藤博史:所蔵

 

頭にはクビヤール・ドゥドゥック(クビヤール・トロンポン)と同じドゥスタル(Destar)をかぶり、手には扇子(キパス=Kipas)を持っている。
(※ドゥスタルは、正装の時に頭につける布のことで高位カーストの呼称。一般にはウダン(Udeng)と呼ばれている)
即興で踊ることが許され、ユーモラスな振り付けで演じ、観客を笑わせる。
テンポは、トペン・トゥオと同じ、マニスの部類に入るらしい演奏で、クビヤール系のしなやかな動きを要求される。

 

トペン・ムニエール

●タングー氏の作品
【Masks & Puppets美術館】に展示されています。(詳しくは:アパ?推薦情報で)
★開館時間:8.00am~16.00pm/年中無休
★Tel:+62-361-977404/+62-817-6022234/
★Email:setiadarmabali@yahoo.co.id/
★入場無料

 

※火曜日の定期公演:ウオーター・パレス《チャンドラ・ワティ=Chandra Wati》グループにて、グスティ・コンピアンの演じるトペン・ムニエール(写真)が観られる。

 

(2011/8/8)