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54「ポトンバビ・完全取材(Potong Babi)」





建築中の「ワルン・スバリ」の様子を見に、スバリ村に出掛けた日曜日の昼下がり。
まずは、グスティ家に立ち寄ろう。
いつものように屋敷の裏口から入ると、裏庭に大勢の男衆の姿が見えた。
家寺(ムラジャン)の寺院祭礼(オダラン)の準備だろう。
前年に100年目の大きなオダランをすませた翌年も、それなりに大きいと聞いていた。
明日の29日が、そのオダランの日だ。
忘れていたわけではない。
明日、来ることができるかどうかわからないので、今日顔を出したのだ。
ラッキーなことに、なんと、ポトン・バビが今まさに始まろうとしているところだった。
大きな儀礼では、ポトン・バビが行われる。
人間の変わりに、豚が生け贄になるのだ。
儀礼が小規模の場合は、鶏やアヒルが豚が生け贄になる。
深夜に行われることが多いポトン・バビが、真っ昼間に見学できるタイミングは少ない。
噛みタバコをもらって、すぐに失礼するつもりでいたが、このチャンスは見逃せない。
久しぶりのポトン・バビの体験の再演だ。

ポトン・バビはインドネシア語で、ポトン(Potong)が “切る” バビ(Babi)は “豚” のこと。
バリ人同士では、バリ語で“ナンパー・チェレン”と言っている。
チェレンが豚。
早い話 “豚の屠殺” だ。
動物の屠殺シーンを見るのをラッキーなって言ってると動物愛護団体から抗議がきそうだが、これはバリ人の信仰するヒンドゥー教の神聖な儀礼である。
そんなわけで、動物愛護の皆さん、私の無礼な発言をお許しください。
前回は参加して醜態を晒したので、今回は写真取材に専念することにした。
醜態は「14ポトン・バビ体験記」をお読みください。 少々エグイ写真が掲載されるが、完全取材ということで、我慢いただきたい。

まずは、豚に聖水をかけ清めることから始まる。
これがバリらしいところだ。
豚のノドにナイフが入る。
鮮血がドッと流れ出す。
前回は、竹の半割をノドに刺し込み樋にして、血を流して下でバケツで受けていた。
今回は、直接、バケツに落とし込んでいる。
血が止まると、蓋を移動した。
バケツの血は、儀礼の料理・ラワールに混ぜられる。
こぼれた血を、犬が美味しそうに舐めている。


ポトン・バビ ポトン・バビ ポトン・バビ


バーナーが用意された。
運ばれた豚の、産毛を焼くのだ。
バーナーの調子が悪いので、伝統的手段である枯れた椰子の葉束を燃やした。
産毛を焦がし、そげ落とす。
そして、洗い流す。

腹の中央にあるヘソを切り、引っ張ると紐状に繋がった腸のようなものが出て来る。
それを丁寧に取り出していく。
血抜きを終わっているからか、ほとんど血は出ない。
大きく腹を裂いた。
大小様々な腸が現れた。
それをすくい上げるようにして取り出しだ。
意外と冷静に見つめている私がいるのに驚く。
腸は、小川に運ばれて洗われる。


ポトン・バビ ポトン・バビ ポトン・バビ


腸が出された肉塊となった豚は、シートの敷かれた場所に移動される。
いよいよ、解体作業だ。
単に切るだけではなく、叩き切る、削ぎ落とされる。
手際よく解体されていく。
生臭さからだろうか、少し吐き気がしてくる。
血を見たら、耐えられないかもしれないと思った。
男衆は平気な顔で作業に取り組んでいる。

解体作業が終わると、続いて供物とラワール料理にかかる。
表皮+脂肪と部位に切り分けていく。
切り落とされた肉の固まりは、それぞれの行程にわかれる。
各部位に分かれた肉は、大きな鍋で煮込まれるもの、細かく刻まれるもの、ミンチ機にかけられるのもとある。
煮込まれた表皮+脂肪は、サイコロ状に切られ串の刺されるものと、脂肪を剥ぎ取った表皮は千切りされてラワールに混ぜられる。
剥ぎ取られた脂肪は、飾り物に使われる。
ひき肉機にかけられた肉は、つくね用と腸詰め(ウルタン)用に分けられる。


ポトン・バビ ポトン・バビ ポトン・バビ


今まで見たことのない手の込んだ細工の竹串に、つくねをつけている数人に男衆がいる。


ポトン・バビ ポトン・バビ ポトン・バビ


プマンクに尋ねると、供物用のサテで9種類あると教えてくれた。
9種類は、極楽通信:16「椰子の木はスーパーマン」の※付録:伊藤博史のブログ|生涯旅人■椰子の実の話(29)で勉強したナワォ・サンゴ(Nawa Sangga)のことだった。 9方位に、神の武器(神器)を竹で形作り、そこにつくねをねりつけていく。
これは、供物として指定の位置に置かれる。


ナワォ・サンゴ ナワォ・サンゴ


これら一連の作業が滞りなくスムーズ行われている。
これだけの仕事量を、10数人の男衆が流れるように携わっている。
素晴らしい連携プレイだ。
慣れているとはいえ、見事な分業システムだ。
力もいるし、動きっぱなしで疲れているはず。
無駄口や一服する者はおらず、皆、真剣だ。
これは、バリ人のゴトンロヨン(相互扶助)の精神からくるものだろうか。
私には、到底出来ない作業だ。
オダラン前日のブト・カロを鎮めるムチャル儀礼まで、いっきに突入していった。




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