「極楽通信・UBUD」



「バリの祭壇の数々(Padmasana)」



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寺院の一番奥の境内に入ったことはありますか?
入ったことがある方は、ご存知だと思いますが、北東角(ウブド地域)にある祭壇だけが壁に並行でなく、45度の角度で建っているのを。
これは「パドマサナ=Padmasana」と呼ばれる、太陽神スルヨ(Surya)のための祭壇です。
スルヨは、バリのヒンドゥーの教えによると、シワ神でもある。
インドネシアは独立後、国の宗教を一神教しか認めないことになり、多神教だったバリ人の信仰はイダ・サンヒャン・ウィディ(Ida Sanghyan widhi)を最高神とする一神教とした。
屋根を持たない座椅子のような造りの祭壇です。
最高神イダ・サンヒャン・ウィディの座する処なので、上部に物質はない。
神々は、祭礼時に決められた祭壇に降臨してくると考えられている。


プラタナンサシ寺院のパドマサナ


グスティ家の屋敷寺のパドマサナ

寺院の祭壇を「パドマサナ」と呼ぶが、小さな祭壇は「パドマサリ=Padmasana」と呼び分けているようだ。
村人は、使い分けているようには思えないが。
神々や祭壇には様々あり、名称がはっきりしないところがある。
*蛇足だが、パドマは蓮。
両足を組む座法・蓮華座は「パドマ・アーサナ」と言うようですね。
語源は、ここかな。
バリには、「Tunjung」という呼び名の蓮がある。


調べてみると、睡蓮のようです

ウブドを散策していて、同じように上部に物質はない祭壇を見かけたことはありませんか?
T字路の交じ合う場所に、必ずと言ってよいほど設置されている祭壇。
このあたりには神々のいることが多く、平穏無事を願う村人は、神々に休んで頂こうと祠に供物を用意して感謝をあらわしているのだそうです。
T字路の小さな祭壇は、パドマサリと呼ぶのかな。


ウブド大通りとスリウェダリ通りのT字路


ウブド大通りとハヌマン通りのT字路


ハヌマン通りとデヴィシータ通りのT字路

パドマサリ以外にも、こんな祭壇が道端に立っているのを見たことがありませんか?
同じように見えますが、上部のある箱型の祭壇です。
名称は、インドラブラカ=Indrablaka、もしくはドゥグル=Dugulと言うそうです。


道端に立つ祭壇 Indrablaka


屋敷門に立つ祭壇 Indrablaka

また、田んぼに立っているのも見かけます。
田んぼには、田んぼと稲の女神デウィ・スリ(Dewi Sri)を祀っている。
これはサンガ(Sangah)と呼ぶようです。


田んぼに立つ祭壇

一般カーストの屋敷寺もサンガと呼ばれる。
このタイプの祭壇は、寺院や屋敷寺などにもあるが、名称は異なるようだ。
祭壇を製作している作業場を訪ねて聞いてみると、作業員から意外な返事が返ってきた。
パドマサナもパドマサリも、インドラブラカもドゥグルも、すべての祭壇はサンガを呼ぶと教えられた。
そこで、私は考えた。
多々あると思われる名称の探索を放棄して、寺院の祭壇はパドマサナで、それ以外はサンガと呼ぶことにした、のであった。




フェイスブックに、沖縄にも石敢当(いしがんとう)と呼ばれる、似たような風習があるとのコメントがあった。
T字路に、悪霊除けの石敢当と呼ばれる守り神を置いているそうです。
精霊信仰の残る地域には、同じような風習が残っているようですね。
バリでは、邪悪に対する供物は地面に直接置く。
ブタ・カラと呼ばれる悪霊は、地表を徘徊するするからだ。
沖縄の石敢当に似たものに、バリでは「アリン・アリン=Aling aling」がある。
バリ人の屋敷を訪れると、門を入った正面に小さな壁がある。




アリン・アリン

これはマジック避けの壁。
手品じゃありませんよ。
レアック=Leakによる魔術のこと。
レアックの話は:「極楽通信・UBUD 」レアック=Leyakをお読みください。
悪しきものの侵入を防ぐための壁。
邪悪な存在は、真っ直ぐにしか進めないと考えているようです。
近年、アリン・アリンを見かけない屋敷も増えてきた。
理解せずに習慣として行ってきた風習が、少しづつ消えていっていると感じる。
変化するのは、仕方がないことだ。
見られるうちに、体験しておきたいと思う今日この頃です。

(2020/10/29)




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