「極楽通信・UBUD」



72「ウブドのバリ舞踊定期公演・総点検」



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ウブドのバリ舞踊定期公演を総チェクです。
スマラ・ラティ以外は、かれこれ10年以上は見ていない。
見なくなった原因は、公演の内容が滞在を始めた1990年から、ほとんど変っていないこと。
最大の理由は、老舗グループの28年間入れ替わらない踊り手にある。
リピーターにとって、内容と踊り手が変らないのは、懐かしくて嬉しいものかもしれないが。
致命的なのは、鑑賞料金が高くなったこと。
私の心細い懐具合では、食事を何度か抜かなくてはならない死活にかかわる料金になった。
ツーリストにとっても、決して安い金額ではないだろうか?
ウブドを訪れ、バリの芸能に触れるチャンスがあるのなら、満足できる公演を鑑賞してもらいたい。
バリの良さを知ってもらうのが、長期滞在する先住民の使命だと思い込んでいる。
独断と偏見になってしまう評価だが、公演選びの参考になればありがたいと、非難覚悟で発表することにした。
心身ともに充実している今なら、すべての公演をチェックできる気がする。
10数年ぶりの「バリ舞踊定期公演@ウブド」全公演チェックにGO〜。

現在ウブドには、17会場、35グループ、44種類の演目がある。
ウブド観光案内所が配っている公演予定表を頼りに、一カ所つづ見終えていく。
予定表には、グループ名、公演内容、会場、開演時間、鑑賞料金が掲載されている。
公演休止になっているグループが、いくつかあった。
「リッタ・デウィ」のように会場の契約が延長ができなかったグループや、採算がとれなくて中止になったグループ。
予定表には載っているが、公演当日にならないと看板が掲示されないグループがあり有無の不安がつきまとう。
儀礼のためチャンセルになる公演もあるので、前もって有無の確認した。
8月24日から月10月12日まで、毎晩、ノンストップぶっ続けで鑑賞。
終盤は、曜日が合わなかったりキャンセルで、4日ほどジャンプしたが。
バリ芸能って、毎日見ても飽きないね。
定期公演は夜なので、毎晩か。
古典あり新作ありの盛りだくさん。
テクニックが素晴らしいと感じる時はそれなりに、未熟なら未熟なりに鑑賞できた。
どの会場も、以前の倍以上の入場者が入っている。
ツーリストが倍増しているんだね。
観光地ウブドの人気のほどがうかがわれる。

私の経験値では、開始時間は7時30分で、公演時間は1時間30分だった。
実際には、開始時間7時、7時30分、8時とまちまち。
公演時間については、予定表には載っていない。
グループによって異なり、1時間から長くて1時間30分で終了する。
45分とハショっているグループもあった。
鑑賞料金は、Rp75,000からRp100,000。
この金額、以前は、大工さんの手間賃と連動していたようだったが、現在は、人気度や立地条件などのマーケティングの匂いがする。
立地条件は、ウブドでもっとも人通りが多いサレン王宮のある変則十字路に近いところが良い。
Rp100,000-は、老舗グループか立地条件の良いサレン王宮の公演。
客の動員傾向は、サレン王宮がデパートで老舗グループは専門店という違いに似ている。
評価の項目に、舞台環境を設定した。
バリの芸能は、屋外での上演が適していると信じている。
寺院や王宮の前庭の公演会場を、高く評価した。
雨が降ると、ワンティランと呼ばれる集会場の建物内になってしまうのが残念。
ロケーション・ナンバー・ワンは、ウオーター・パレスだ。
ライトアップされたサラスワティ寺院の前景が、背後に美しく照らし出される。

主眼は、ツーリストの視点で鑑賞すること。
過去の実績や名声は、この際、関係ない。
目の前で繰り広げ得られる、パフォーマンスが100%。
たいていのツーリストは、再び訪れることはないという思いで、鑑賞している。
自国で見る機会の少ない、バリ芸能。
バロン、ケチャは、名前を聞いたことがあるという程度だろう。
ガイドブックを読んだくらいでは、理解できない。
開演前に手渡されるプログラムの解説に、目を通すひまがない。
演目の内容を理解しないまま、想像で鑑賞するしかない。
まったく理解できないバリ語やインドネシア語で物語を解説されても、粗筋もわからない。
初めて聴く伝統楽器ガムランを、ウルサイと感じる人もいる。
踊りは、どれも似たり寄ったりで、テクニックを理解することは至難の技。
初見で、芸術性や技量を見分けることは難しいだろう。
「何となくエネルギーを感じた!」で、充分だ。
ガムラン演奏は、奏者の真面目さを評価した。
真面目さとは、真摯であること。
演奏者の足りないグループは、おおいに減点。
最初で最後になるかもしれない、ウブド滞在。
誰もが、写真に残しておこうと考えるだろう。
被写体としての芸能を重要視した。
美しい写真が撮りたい、そんなツーリストの要望に答えよう。
ツーリストが、スマホで何を撮るか?
できれば、美女美男がいいよね。
特に注視しているのは、踊り娘だ。
若くて可愛い踊り娘に注目がいくのは、世界共通だろう。

今さらながら、気づいた。
定期公演のほとんどが、各種のガムラン形態の伴奏で舞踊&舞踊劇を上演するということ。
ガムランは、ゴン・クビヤール、スマル・プグリンガン、グンデルなどの青銅鍵盤楽器が主流だが、定期公演ではこの他に、ティンクリックやジェゴグなどの竹ガムラン、竹笛ガンブー、口琴ゲンゴンなどの希少価値のグループも公演している。
影絵人形芝居の「ワヤン・クリット」は、古典の弱みか人気がないので、同じ土俵で評価をすることを避けた。
「オカ・カルティニ・バンガロー」「ポンドック・バンブー・ミュージック」「クルタ・アコモデーション 」の3カ所で上演されている。
ケチャの合唱も、口ガムランと言われているから、同じ土俵で評価しようと考えたが。
舞踊と比べて、格段に人気が高い。
ケチャと舞踊は、バリ芸能の東西横綱として別々に評価することにした。
ケチャの順位を発表します。(8グループ)
1・金曜日「ウブド・カジョ(Ubud Kaja)」ダラム寺院ウブド
2・火曜日「ウブド・トゥンガ(Ubud Tengah)」バトゥカル寺院ウブド
3・木曜日「サンバハン村(Sambahan)」プセ寺院ウブド
4・水・土曜日「タマン・カジョ(Taman Kaja)」ダラム寺院タマン
5・月曜日「ジュンジュンガン村(Junjungan)」デサ寺院ジュンジュンガン
6・木曜日「スマラ・マディア(Semara Madya)」プリアタン王宮
7・金曜日「パダン・スバダラ(Padang Subadra)」パダン・クルタ寺院パダンテガル
8・日・水・土曜日「タルナ・ジェンガラ(Trena Jenggala)」クロンチン寺院パダンテガル
ロケーションの良いグループが上位に、演目に目玉のFire Dance(サンヒャン・ジャラン=Sanghyang Djaran)がないグループは下位となっている。

2位のウーマン・ケチャ「ウブド・トゥンガ」は、Fire Danceが一見の価値有り。


舞踊のグループは、タイトルを「レゴン・ダンス」とし、舞踊劇のグループは「マハバラータ叙事詩(Mahabarata)」「ラーマーヤナ叙事詩(Ramayana)」のタイトルになっている。
「レゴン& バロン・ダンス」のタイトルは、前半が「レゴン・ダンス」で、後半が「バロン舞踊劇」というグループ。
バロンが、ツーリストに人気があるという証明の演目だ。
舞踊劇は、バリ語の理解できない観光客には人気がない。
人気にない舞踊劇は、マイナス・ポイントになる。
「レゴン・ダンス」は、踊り手が多く、踊り娘の多いグループが豪華で見栄えがする。
比較的新しいグループに、新作舞踊の群舞が登場している。
いくつかのグループで、演目がかぶるのは、その演目がツーリストに人気の舞踊だからだろう。
レゴン・ラッサム、バリス・トゥンガル、バロンがそうだ。
公演側も、ツーリストは、一度しか見ないだろうと決めているわけで。
一度しか見られないなら、種類が多い方がよい。
終了時に観客を舞台に招いて、踊り手さんと一緒に記念写真というのが人気アイテムになっている。
これもツーリスト的には、プラス評価となる。
評価の対象、演目・ガムラン演奏・舞踊・舞台環境。
もちろん、独断と偏見です。

それでは、舞踊部門を順位の発表です。(33グループ)
1・日曜日:ジャヤ・スワラ(Jaya Swara)サレン王宮
 演目:テドゥン・アグン/バリス・バンダナ・マンガラ・ユダ/レゴン・スプラバドゥータ/タルナ・ジャヤ/トペン・アルサウジャヤ/ガルーダ・ウシュヌ・クンチャナ
2・土曜日:ビナ・ルマジャ(Bana Remaja)サレン王宮
 演目:プスパ・レスティ/トペン・クラス/レゴン・ラッサム/クビャール・ドゥドゥック/クプクプ・タルム/オレッグ・タムブリリンガン/ジャウッ
3・月曜日:サダ・ブダヤ(Sadha Budaya)サレン王宮
演目:ガボール/バリス・トゥンガル/レゴン・ラッサム/タルナ・ジャヤ/オレッグ・タムブリリンガン/トペン・トゥオ 4・火曜日:スマラ・ラティ(Semara Ratih)デサ寺院クトゥ村集会場(屋内)
5・木曜日:パンチャ・アルタ(Panca Arta)サレン王宮
6・土曜日:グヌン・サリ(Gunung Sari)プリアタン王宮
7・木曜日:チニック・ワヤ(Cenik Wayah)ウオーター・パレス
8・金曜日:サダ・ブダヤ(Sadha Budaya)サレン王宮
9・土曜日:チャンドラ・ウィラ・ブアナ(Chandra Wira Bhuana)ウオーター・パレス
10・金曜日:ティルタ・サリ(Tirta Sari)バレルン・ステージ(屋内)
11・水曜日:パンチャ・アルタ(Panca Arta)
12・木曜日:マンダラ・ギリ(Mandala Giri)
13・火曜日:チャンドラ・ワティ(Chandra Wati)
14・日曜日:レゴン・クラッシック(Legong Classic)
15・木曜日:プスパ・キラナ(Puspa Kirana)
16・月曜日:ルー・ルウィ(Luh Luwih)
17・金曜日:ウブド・クロッド(PKK Ubud Kelod)
18・火曜日:ビナ・ルマジャ(Bina Remaja)
19・火曜日:スカ・ゴン・カルヤサ(Sekka Gong Karyasa)
20・水曜日:ヨワナ・スワラ(Yowana Swara)
21・水曜日:トペン・ジマット(Topeng JImat)
22・月曜日:チュプック・ウィルサ(Cepuk wirsa)
23・日曜日:スアラ・サクティ(Suara Sakti)
24・日曜日:ポンドック・ペカッ(Pondok Pekak)
25・水曜日:サンガール・スワラ・グナ・カンティ(Sanggar Suwara Guna Kanti)
26・水曜日:ペーカーカー・ウブド・カジョ(pkk ubud kaja)
27・日曜日:チャハヤ・ワルサ(Cahya Warsa)
28・火曜日:レゴン・テレック(Legong Telek)
29・水曜日:バロン・ダンス(Barong Dance)
30・木曜日:ラジャ・プニ(Raja Peni)
31・火曜日:スマラ・カンティ(Semara Kanti)
32・土曜日:ポンドック・ペカッ(Pondok Pekak)
33・月曜日:サンディ・スワラ(Sandhi Suara)


お薦めではないグループにも、逸材はいる。
時間が許せば、くまなく見て欲しい。
詳しくは、ホームページのコンテンツ「バリの伝統文化・芸能」をクリックして「おすすめ伝統芸能公演」「You Tubeの動画集(バリ芸能解説 動画集)」 をご覧下さい。

(2017年11月3日更新)




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