「極楽通信・UBUD」



69「ココナッツ・オイル作り」





この頃、ココナッツ・オイルの人気度が高いと、良く耳にする。
10年ほど前「アパ?情報センター」に、ココナッツ・オイル作りの作業風景を見たいと、ツーリストからの要望があった。
こういった方面にまったく興味がない私は、当時、情報を持っていなかった。
今回は、なんとなく心が動き、知人のグスティ君に「作りたい」と相談した。
「いつも作っているから、いつでもいいよ」との返事だった。
「いつも作っている」初耳の言葉に唖然とした。
3日に1度ほどの割合で、ココナッツ・オイルを作っているという。
各家庭で作られ、日常で使われていると言うのだ。
グスティ家の台所には、自家製のココナッツ・オイルが置かれていた。
市販の食用油を使っていない。
バリ人宅は、自家製率高いようだ。
26年間滞在して、初めて知った。

バリ島に生育する椰子には、様々な種類がある。
砂糖と発酵酒を作る椰子や蒸留酒になる椰子、オイルを採る椰子。
地霊や邪悪の力を祓うための儀礼・ムチャル/チャル=Mecaru/Caruでは、5種類のバリ原生椰子の実を使う。
儀礼に欠かせない椰子の話は、バリらしい。
この話、テガランタン村滞在記「椰子の実の話(29)」にしたためております。
「極楽通信:16 椰子の木はスーパーマン」と合わせてをお読みくださるとありがたいです。

バリ島に古くから伝わるココナッツ・オイル。
インドネシア語で、ミニャッ・クラパ(Minyak Kelapa)と言う。
ココナッツ・オイル作りを2度、グスティ家で体験した。
作り方を順を追って説明しよう。
オイルには、果汁の少なくなった発芽する前の古い椰子の実を使う。


ココナッツ・オイル ココナッツ・オイル

まず、外の厚皮を剥がします。厚皮剥がしは、グスティ君の仕事。

(※椰子の実の中には、「胚乳(はいにゅう)」と呼ばれる栄養素の塊が入っています。胚乳は、周縁を固めている「固形胚乳」と、中心にたまっている「液状胚乳」に分かれており、ココナッツオイルには固形胚乳が使用されます)

ここからは、主婦の仕事。
台所は主婦の城だ。


ココナッツ・オイル
厚皮が剥された実の固い殻から、白い部分を剥がす。


ココナッツ・オイル
おろし金で細かくする。


ココナッツ・オイル
動力もあるでよ〜


細かくなったココナッツに、白湯を入れ揉む。
これを絞った(圧搾)液体が、ココナッツ・ミルクだ。

ココナッツ・オイル ココナッツ・オイル

(※生のココナッツから絞るウェットミリング製法。フレッシュココナッツを乾燥することなく抽出する方法。湿った生のココナッツの果肉からまずココナッツミルクが抽出され、その後オイルが水分から分離される。オイルを分離する方法には、熱を加える、醗酵させる、冷蔵させる、酵素を利用する、遠心分離にかける、などの手法が使われる。つまり、ヴァージンココナッツオイルは必ずしも非加熱とは言いきれない。このタイプのヴァージンココナッツオイルは、高酸化物質が最も高い)
(※ウェットミリング製法のヴァージンココナッツオイルが一番栄養価が高そうではあるが、その中でも「水分から油を分離する」プロセスをどうやるかによってまた成分が変わってくるようだ)
(※エクストラヴァージンとヴァージンに違いはありません。オリーブオイル業界ではあるようですが)


ココナッツ・オイルは、ココナッツ・ミルクから油を分離させたもの。
バリの伝統的分離方法は、加熱式だ。
カマドで薪を使って加熱する。
加熱しないで分離するものをヴァージン・ココナッツ・オイルと言うらしいが、加熱しても成分に変りがないようだ。

ココナッツ・オイル


(※圧搾方法は「高温圧搾法=熱間搾汁」と「低温圧搾法=冷間搾汁」の2種類に分かれています。高温圧搾法とは、採油効率を上げ大量生産するために高温で加熱してオイルを搾り取る製法です。一般的な植物油の製法の主流となっています。一方低温圧搾法とは、圧搾する際に発生する摩擦熱が高温にならないよう、時間を掛けて丁寧にオイルを搾り取る製法です。コールドプレス製法でココナッツオイルを抽出する際の温度は、最低でも60度を超えないことが条件となっています)
(※ココナッツミルクを瓶に入れて一晩おく。翌日上下に分離した透明な上澄みだけをすくいだし、フライパンや中華鍋などで火にかけて熱し、ココナッツのかけらが沈んだら濾過する)
(※コールドプレスとは、冷間搾汁(れいかんさくじゅう)と訳され、2002年にEUがオリーブオイルの品質を保つために定めた「オリーブオイルに関するマーケティング基準委任規則」から初めて使われた言葉です。 それによると、コールドプレスとは、「27℃以下で圧搾、抽出されたことを証明する」品質保証として使われています)


☆☆☆

しばらくすると、アクのような白い泡が浮いてくる。
白い泡をすくい取ると、粒状のオイルが姿を現す。
これがココナッツ・オイルだ。
奥さんのプスポさんは、日常の仕事をこなしながら次から次へと段取り良くオイルをつくっていく。
白い泡に野菜を和え、バナナの葉に包んで焼いた、ペペスと呼ばれる料理を作ってくれた。
不思議な美味しさ味だった(食レポは出来ません)。
加熱すること30分。 分離して浮いたオイルは透明。
上澄みのオイルをすくい取る。
すくい取ったオイルをもう一度加熱して、水分を飛ばす。
これを冷ませば、ココナッツ・オイルの完成だ。


ココナッツ・オイル


友人のミサトさんが、説明をイラストで描いてくれた。わかりやすいよ!
ココナッツ・オイル
イラストは、画面から外に出してから、クリックすると大きくして見られます。


これまでの説明でわかるように、無精製、無添加。
(※Unrefined =未精製オイル:圧搾しただけで科学処理は一切無し。ココナッツ本来の栄養と香りが豊かに残っています) 当然だが、ココナッツはオーガニック。
簡単にできて、効用も多様だ。
効用については、各自で調べてください。


主婦が作っているココナッツ・オイルを売りたい。
フェアトレードの意味を正しく理解していないが、生産者直売にしたい。
こんな考えが浮かんだ。
少しでも彼らの生活の糧になれば、なんて思うのはオゴッタ考えだろうか?
出来ることから始めたいと思っている。




注意:(※)の中は、Googleで検索したものです。ヴァージン・ココナッツ・オイルについては、定義が明確になされていないようですね。




《アパ?新企画「ココナッツ・オイル作り」》


※アパ?では、バリ島のココナッツ・オイルを理解して頂くためにオリジナル・ツアーを企画しました。 その名もズバリ《 ココナッツ・オイル作り 》。
バリの伝統的なココナッツ・オイル作りを体験する。
バリ島民の家々に古くから伝わる「ココナッツ・オイル作り」。
民家の台所を使用し、オイルのできる行程の見学と作業を体験します。
ココナッツの不思議が解明されるかもしれません。
出来上がったオイルは、お持ち帰りできます。

■遂行人員:2名様以上〜5名様以内
■価格:20US$(1名様・プロモーション価格)
■遂行時間:3時間(午前・午後の2回を予定)




Information Center APA? LOGO