「極楽通信・UBUD」



35「ロングステイ(longstay)」





バリ島は、リピーターの多いところだ。
日本人はもちろんのこと、世界中から訪れるツーリストが、バリ島での思い出が忘れられず再び訪れる。それぞれの人がそれぞれバリの魅力に取り憑かれ、熱病に冒されたように、幾度となくバリを訪れる。こんなところは世界でも珍しい。
1年に6度も訪れていた、熱愛タイプの女性。じっくりと思い入れを熟成するかのように、何年間も通い詰める里帰りタイプの人。20数年通い詰めてトータル30回以上も訪れている夫妻を知っている。
そうまでして通う、バリの魅力っていったい何だろう。
我々の大好きなウブドの魅力を、ウブド熱愛症候群の皆さんに聞いてみた。

「メインストリートの裏へ入れば、そこは田んぼが広がる田舎。郊外には、ライス・テラスとか景色がある」
オダラン(寺院祭礼)の時には、我が物顔で道路を封鎖し、オダラン渋滞を引き起こすことしばしば。火葬式のみこしが通れないからと、街路樹を切り、電線を切る。それって、やっぱしウブドらしい魅力なんじゃあないかなあ。観光客にアピールしようとするのではなく、わが道を行くウブドが格好いいと思います」
「日本には無い漆黒の闇夜。ガムランの音・・・。神様が近くに居る暮らしというのも興味深いところだと思います」
ウブド人は英語で、ウブディアンと言われ。ウブド好きな外国人のこともウブディアンと呼ぶらしい。
できればロングステイしたいという気持ちを、さまざまな事情で、リピーターという旅人で折り合いをつけているウブディアン。

幾度も訪れるうちに、ロングステイを始める人もいる。
ロングステイの定義は難しい。と言うより無い。だから、個人個人の物差しで考えてよいだろう。
観光ビザで出入国を繰り返し数ヶ月間滞在している人、6ヶ月〜1年間の滞在ビザを取得している人、リタイヤビザで5年間の滞在を保証されている老人などなど。また観光ビザ満期一杯の1ヶ月間滞在も、日本人の事情からすればロングステイの範疇に入れてよいだろう。そして住まいは、借家、持ち家、ホテルと、こちらもさまざまだ。こういったビザの種類や住まいの種類など、ロングステイにもいろいろある。

さて、ここに数年単位でロングステイを希望する人が、相談に来たとしよう。
そんな時、私は「まず、1年間滞在してみてください」とアドバイスをする。さしずめ日本なら春夏秋冬の四季を感じてもらい、それぞれの季節の行事を知ってもらうわけだが、バリでは雨季と乾季の2つ季節を体感し、数々の祭礼日や吉日を体験することだろう。ロングステイしてみて、始めて気がつく不便もあるはず。滞在を始めてから嫌な思いをするよりは、わかっていての不便なら我慢できるはず。
すでに何度か訪れているリピーターは、衣食住の一般知識を体得し、最低限困ることはないだろうと判断して「ロングステイの心得・衣食住」については免除しよう。
この1年間という期限の持つ、もっとも大事な意味は、この間に、信頼できるバリ人の知人を作ることである。信頼できるバリ人がいなければ、ビザの保証人、住宅、車の購入などを頼むことができない。そしてトラブルの多くの原因が、この保証人との関係だ。自分の第一印象や直感で信用するのもよいでしょう。それでも、念のために1年間の猶予を持ったほうがよいと、私の経験からアドバイスします。1年間は最低限度だと考える。
最後に一言、バリ人も外国人だということを忘れずに。体格に顔、動作にも日本人と似ているところがあるバリ人。思わず日本人と同じように意見を浴びせてしまう危険があります。日本人の物差し、自分の常識を持ち込んで、彼らに押しつけないようにしよう。

バリの魅力、それは、一度あなたがバリを訪れれば、おのずと解き明かされることでしょう。日本では味わえないバリならではのロングステイを見つけよう。




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