「極楽通信・UBUD」



75「ウブド長期滞在の極意 / Rahasia」





ウブド滞在が32年を過ぎた。
ぼ~と過ごしているので、これといってバリ人とのいざかいもない。
どうして、何も問題なく過ごせているのかを考えてみた。
もしかすると、これって長期滞在の秘訣かもしれない。
ウブド滞在を計画している人の参考になるかもしれないと思い、書き出してみました。
あくまでも私の狭い行動範囲での対処法ですので、そこんとこよろしく!

●その1
まずは、ウブド人を理解することですよね。
ウブド人とのコミュニケーションの取り方・その①
インドネシア語を習うと同時に、バリの慣習の単語を覚えるといい。
例えば、プラ=お寺、オダラン=寺院祭礼、プリ=王族の屋敷、ガルンガン&クニンガン、ニュピetc。
片言のインドネシア語に慣習言葉を混ぜれば、バリ人とのコミュニケーションは取りやすいはず。
バリ語を覚えるに越したことはないですが、バリ語には普通語と敬語(丁寧語)など3種類はあるので至難の技です。
私は、早々に諦めました。
インドネシア語を話せない私が言うのも何ですが、慣習の単語を理解しようとしているうちに、インドネシア語も少しずつわかってくるようになるでしょう。

●その2
ウブド人とのコミュニケーションの取り方・その②
会話のキッカケを作る。
私の場合は、タバコを小道具に使いました。
庶民のタバコ・グダンガラム(多種ありますがここでは省略)をいつも持っていて。
ワルンで、オダランで、近くにいる男性にタバコを勧めながら会話をします。
「私も持っているから」って言われた。
タバコをすすめるのが目的ではないので、一言返ってきた段階で、成功です。
「私は吸いません」という答えも予想できますが、これも返事があったのでキッカケ作りは成功でしょう。
女性に声を掛けたい場合は「チャンティック(可愛い)!」の一言でOK。
これは1990年代のウブドの話ですから、今通用するかは疑問です。
ワルンのイブなどであれば「美味しいね!」など、男性の場合は「忙しい?」などのキッカケ作りをします。
お店じゃない場合は子供やペット、庭を褒めます。どんな場合でも小道具は笑顔です。
声をかける方法。
声を掛けられる方法。
考えて見てください。
女性の小道具、どうしましょうか?
日本女性はウブド人(老若男女)に人気があるので、声を掛けられることが多いです(今はどうだかわかりませんが)。
「チャンティック!」と声が飛んできたら、「テレマカシ!」と微笑み返しです。
日本女性からバリ人に声をかける場合の小道具は、どうしましょう?
私は、女性のことはよくわからないので、答えが見つかりませんでした。
カフェで隣り合わせた人にタバコをすすめるとか、知らない女性に「可愛いね!」なんて声をかけること。
日本では、考えられませんよね!
ウブドでは、それが可能なのです。
村人全員が、観光客を歓迎してくれている空気が流れていて、知り合いのよう振舞うことができる。
知らない人が微笑んで来たり、眉毛の一方を上下させる合図を送ってきたりする。
知り合いだったかなと悩みますが、これは、ハイキングですれ違う人に挨拶すると似た行為なんでしょう。
村人同士、ツーリスト同士、村人対ツーリストでも、顔が合えば、微笑み返すか眉毛の合図を送る。
日本だったらセクハラで訴えられそうな行為ですよね。
そんな行為が、自然にできるところがウブド。
コミュニケーションのチャンスに満ち溢れているでしょ。
あなたも眉毛を上下させる練習をしておくといいですよ。
●その3
ウブドに沈没するなら、宗教心の厚いウブド人と付き合おう。
ここで言う宗教とは、バリ・ヒンドゥー・ダルマのこと。
その理由は、彼らは、カルマパーラ(因果応報)を信じているからです。
良い行いは良いカルマに、悪い行いは悪いカルマに、なって自分に返ってくると信じている。
だから、現世では善い行いをしようと心がける。
同時に、”輪廻転生”も信じている。
人間は死ねば、天国に行く。
現生は、試練の道。
善行が足らなかった人は、再び人間になって戻ってくる。
輪廻転生は、人間が何度も生死を繰り返し、新しい生命に生まれ変わること。
生まれ変わるなら人間が良かろうが、なかには悪行で、嫌いな虫だったり動物だったりする(らしい)。

●その4
文化を理解しよう。
ウブド人と我々ツーリストと違うところ。
彼らは、信仰と慣習を生きる拠り所としている。
ベッドルームや居間より先に、屋敷門や屋敷寺を優先して改修する。
各種儀礼に、惜しみなくお金を使う。
信仰と慣習のために稼いでいるので、そちらが優先できない仕事にはつきたくない。
その不文律を理解していないと、軋轢が生ずる。

●その5
『無くなって困るようなものは、持たない』
外国生活で、命に次に大事なものは、パスポートとお金(現在はスマートフォンかな)。
この2点は、肌身離さず持ちましょう。
もしくは、銀行預金かセフティボックスに預けましょう。
『なくなって困る物は、隠しておいてください』
どうしても持つことになる場合は、極力、他人に見られないようにしよう。
現地の人が欲しがるような物を、見せびらかすようなことはしない。
彼らに、罪を作らせない。
目にしなければ「貸して!」と言ってこないだろう。
貸した物が返ってこないことがある。
借りた人は、私より、必要だったんだろう。
無くなって困るような物は持っていないから、あきらめられるはず。
私が貸したTシャツをまったく知らない人が着ているのを見た。
ウブド人は「貸して!」と言われると、ソンボンと思われるのが嫌で断れないようです。
Orang yang sombongは、傲慢な人という意味。
私の周りのウブド人数名は、「他人も物は私の物、私の物は私の物」という考え方を持っている。
こんなインドネシア語があった「Milikmu milikku Milikku milikku =お前の物は俺にもの、俺の物は俺の物」。
「人類皆兄弟」かい!
私の認識では、貸しては、ちょうだいと同義語。
だから、あげたつもりで貸すか、断るようにしている。
*それいいね!可愛いね!バグース!と褒める時は、欲しい時。

●その6
こちらが疑いを持てば、相手も同じような気持ちになる。
ウブド人を信じたら、顔を合わせている限り、トコトン信じよう。
それでも、騙されたと思ったら、自分に人を見る目がなかったと反省してください。
自分を疑ってみるのも、大切だ。

●その7
相手を責める前に、自分に落ち度はないかと、考える。
自分のインドネシア語は、充分に伝わっただろうか?
相手の言葉を、充分に理解しただろうか?
「聞き間違いは、言い手の粗相」
聞き手が真意を理解できないのは、話した人の配慮が足りないから。
対として「言い間違いは、聞き手の粗相」という言葉がある。
日本人同士でも、100%は伝わらない。
ましてや、インドネシア語が充分に話せないのに、意思が通じるはずがない。
白黒決着をつける結論にしない。
命のやり取りがないのなら、まあまあの曖昧であっていいのでは。
曖昧がコミュニケーションの緩和材だと思っている。

●その8
叱責は、人前でしないこと。
大声で、叱責しないこと。
時として、忠告を叱責と捉えることもあるので、理解してもらうように心がけましょう。
これが、もっとも難しいのです!

●その9
忙しいことは、恥ずかしいことと心得よ!
私のバリ人知人に「忙しい?」と聞くと、「ティダ(いいえ)!」と答える。
彼らは、忙しいことが恥ずかしいのだ。
忙しいことは、格好悪いこと。
儀礼で忙しそうにしているので「忙しいね?」と言うと、これにも「ティダ」と答える。
そして「ビアサ(普通)」と加える。
好んでする行いは、側から見て忙しそうでも、本人は忙しく感じないもの。
私のような怠け者には、ぴったりの土地柄でしょう!!
忙しくない、ほどほどの暮らしをしましよう。

●その10
買い物は、滞在している村内でしよう。
スーパーMは便利ですが、たまには村内の朝市や雑貨屋で。
ガソリンSも利用しますよね、でも近所のベンジン販売も利用しよう。
外食は、できるだけ近場のワルンで。
などなど、住まわせてもらっている村でお金を使う。
こうやってコミュニケーションをして、存在を覚えてもらう。
バンジャールの一員、家族にはなれないが、気を使ってもらえる存在にはなれるかもしれない。

●その11
目立たないように暮らそう。
外国人は目立つ。
出しゃばる(目立つ)釘は、打たれる(抜かれる)。
彼らの生活レベルに合わせよう。
先行するのではなく、追従するスタンス。
オシャレをしたいだろうが、周りのウブド人とかけ離れてはいけない。
古くても穴が空いていても、洗濯がされた清潔な物なら良いじゃなかが、私の考えだ。
今は、ウブド人もオシャレになり、長期滞在者も、見すぼらしい服装ができなくなった。
私は、Tシャツ・ Gパン・ゴム草履が定番だが、以前より質の良い物になってきている。

●その12
ウブドにあっては、不便を楽しもう。
「マンディ(水浴び)」もそのひとつ。
ペットボトルやホースを工夫して、雨水を貯めて温水器を作ろう、なんて考えていた’90年代。
水槽に貯められた水は、曇りの日や夜間は冷たい。
乾季になると、気温20度以下になることもある。
手しゃくですくって、「やぁ!」と掛け声とともに水を浴びる。
身体が引き締まる感触あり。
太陽が昇っている時間帯は、貯水タンクの水が少し暖かいので、蛇口からの水を使う。v バリ人は、太陽が昇っている時間帯に川マンディをする。
川マンディの最終タイムが午後5時頃なのは、その後、水は冷たくなるからだろう。
肌寒い日は、ヤカンに湯を沸かしてバケツでマンディ。
湯沸かし器は販売されているが、バリ人の一般家庭にホットシャワーは、まだ普及していないだろう。
ちなみに、我下宿にはバスタブはもちろん、ホットシャワーもない。
水シャワーは、水槽の水より冷たくない!



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