「極楽通信・UBUD」
56「厄年とムルカット」筆者：田口光
・
★★★今回は、重度のウブド熱愛症候群である “田口光さん” にお願いして、貴重な「ムルカット体験記」を書いて頂きました。厄年のミソギをバリ式の沐浴（ムルカット＝Melukat）ですませた田口さん、その後の日々はきっと穏便に過ごされたことでしょう。
Baliで初めて出来た友人の名前は「ティルタ」でした。彼に名前の意味を聞いたところ、日本通の彼は流暢に漢字で「聖なる水」と書いて教えてくれました。
聞くところによると、「ティルタ・ウンプル」というところから湧き出ている水には特別な力があり、身を清めたり、僧侶が使う水もここから汲むことが多いとのこと。そんな偉大な名前らしいのです。
ティルタウンプルでは、身を清める「ムルカット」というのが出来るらしく、誰に聞いても「ばぐーす」と答えが返ってきます。(笑) 詳しくはわかりませんでしたが、清浄で甘露のような水なのだろうなあと、小中高と水泳部で水に親しんできた私は勝手に思っていました。
それから毎年のようにBALIには訪れていたのですが、ティルタウンプルでムルカットをする機会はなぜかなく、名前だけが私の頭の中にありました。変化があったのは初BALIから月日がたつこと15年、厄年に差し掛かったころでした。身体のあちこちに支障が出始めたのもあったのですが(笑)、仕事をはじめ、様ざまな変化もあり何か思いふけることが多くなったころでもあります。
そんな時、ムルカットを思い出したのです。昨年2012年の秋口でしたが、その年は義父母と一緒ということもあって、「アパ？情報センター」に6時間パックをお願いしたのですが、その中にムルカットも組み込んでもらいました。
ティルタウンプルまではUBUD近郊から車で近く、途中テガラランのライステラスを通り抜けたり、否が応でもお清めに行く気持ちを盛り立ててくれるのでした。そんなこんなで実際の時間は40分くらいだったと思うのですが、体感的にはもっと短く感じました。
到着後はサルンをまいて入場します。（私は自分のをもっていきましたが、確かレンタルも可能だったと思います）いくつかの門を通り抜けると、轟音でもなければ静穏でもない、表現が難しいのですが、「きよらかな水」の音がするのです。ムルカットをするところは縦が10mくらい横が50mくらいのプールのようで、横一列に正面の壁から水が湧き出ています。それを横目に見ながら更衣室に向います。更衣室は、一応鍵付きで屋根もありました。もしや路上で着替えるのかと思っていたので一安心です。手早く着替え、先ほどの「清らかな水」の元へと向かいます。
行くと「アパ？情報センター」のワヤン君が待っていてくれて、ムルカットの方法を丁寧に教えてくれました。聞くと、水が湧き出ている口は13個あるのですが、9番目は神々への儀礼専用、10番目は死者への儀礼専用で使ってはいけないとのこと。どうやら僧侶が使う湧口や、死者にしか使わない湧口もあるとのこと。知らないとうっかり使ってしまい、周囲の方から白い目で見られるところでした。
ムルカットをしている人は老若男女さまざまで、私のように国外から来ている方も幾人かいらっしゃいました。ゆっくりと水に入ります。冷たい！ でも、とても冷たいのですが身体の芯まで刺さる冷たさではありません。ゆっくりと湧口に向かいます。湧口は女神の壺から水が出るよう彫刻がほどこされており、勢いよく流れ出ています。まずは手から、そして、その手で水をすくい頭にかけて、直接頭に水をあてます。流れる水はさらに冷たいのですが、どことなく「柔らかく」感じ、最後のほうは、なぜか温かみまで感じました。（気のせいかもしれませんが）
向って左から順番に湧口を回っていくうちに、段々と頭の中が軽くなっていくようでした。終わったころには何かスッキリ感があり、そしてこれが「頭をからっぽにする」ということなんだと初めて体感できた感じがしました。
清めるというのは、身体ももちろんですが、心の中までもがきれいに片付いたような気がして、どことなく気分がよかったのを覚えています。静かなエネルギーが地面の下のほうから満ちてくるような感覚をもった数日間でした。
（2113/1１/９）
《アパ？新企画「神秘体験ツアー」》
※タンパクシリン村にあるティルタ・ウンプル寺院の古代遺跡沐浴場で「ムルカット」
★料金：3,000円/1名様（入場料、供物、お布施、正装、日本語ガイド・送迎車代含む）
★ウブド発：約3時間を考えています。
★夜でもOK（水は冷たいです）。満月の夜は特にお薦め。
○スバトゥ村のグヌンカウイ寺院と滝に打たれるムルカットも人気です。
「極楽通信：スバトゥ村のムルカット」を参考にご覧下さい。
○プダンダによるムルカットを受けられるツアーも用意してあります。
・
・
・
バリ島ウブドの仲間たちによる・情報満載ブログ＆情報通信＆YouTube
