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路地裏の世界

 ・魔術師ダドンとの遭遇

 ・モンキーフォレストの精霊

モンキーフォレストの精霊(09/02/20)

モンキーフォレスト。
ウブドの町中にある観光スポットとして、
観光客には有名。

この猿森。
地元では神聖な場所として知られている場所。
神聖、って言うと、神々しく聞こえるけど、
本来のところ、精霊が棲む森なわけです。
治療家さんやバリアンが、力をわけてもらうために
森の中で夜、瞑想しているとかいう話。

そんな猿森。
昼間といえども、
聖水の湧き出る小川沿いにはチャプン・ハントゥが飛びかい
(チャプン・ハントゥというトンボが多い場所は、
精霊の集まる場所だという言い伝えがバリにある)、
ただごとではない雰囲気を醸し出している場所なのです。

ある夜。
その道に詳しい友人とわたしで、この猿森に行ってみよう、ということに。
とんでもない経験をすることになろうとは知らず・・・。

石像が守る入り口をくぐったところから、
ただならぬ気配に包まれました。
まず、音。
トタン屋根にアラレがぶつかるような音が聞こえだしたのです。
「え?猿がなんか投げてる?」
でも、なにも落っこちてくる気配なし。
カラカラ、バラバラという音が近くから遠くから。
不可解な気分に襲われつつ、
ふと、ちかくの岩が気になってなんとなく目を向けると、
岩からなんか顔みたいなのが、にゅ〜っと!
げ、幻覚か?
  「わあっ!」と大声をあげてしまうわたし。
一緒にいた友人は余裕。
そんなわたしの反応を見て、愉快きわまりないといった感じで、
スタスタと奥へ進み、
「はやくおいでよ」と。

精霊を見た、とか、妖怪を見たとかいう話は、
バリと長くつきあえば自然と耳にする話。
だからその手の話には慣れていたし、
「そういうこともあるかもね」とは思っていました。
まあ、岩からなんかがにゅ〜っと出てくることぐらい、
あり得る、あり得る、と無理矢理納得して、
さらに奥へと進んで行くと・・・

凍り付いてしまいました。わたし。
だって、何かの気配に見上げたら、
6メートル以上はあろうかという、なんかの生き物らしきかたまりが、
森にとけ込んでうごめいているのです。
透明のジェル状のうねうねした、ゆらゆらしたかたまり。
その中には蛍が点滅してるみたいな、
星のようなキラキラが無数に。
そのかたまりが、ぬうっと動いて、
明らかにこっちを振り向きそうになった瞬間・・・
「すみませんでした!!!!」
ハッとしてとっさに謝るわたし。そのまま後ずさりして
元来たほうへ戻りましたよ。

友人は爆笑しながら「見た?」と。
見ましたよ、見ました。
あれは一体?
もう、これ以上奥になんて入れません。
わたし、こんなの見たの初めてなんですから!
そうとうびっくりです。
あんな見たこともない生き物が住んでる夜の猿森に、
なんの準備もなく入れやしません。

「そうなんだよ。いるんだよ」
とは、あくまで冷静な友人。
「あなたが、精霊とかいるならほんとに見てみたいって
言っていたからさ。でも、あれよりもっと大きいのがいるよ」
って。

猿森には本当にいるんです。
見たんですから。
もう、精霊の存在、というか
異世界があるってことを実感させられた一件でした。
百聞は一見にしかず。
わたしの今までの世界観はこの後からガラガラと崩れさって
いきました。

昔の人が、精霊、いわば違う世界の住人の存在を信じて、
敬意を表して共存してたって話は、
形は色々あるものの、耳にしますよね。
特にバリでは。
でも、それって昔のことじゃないんですね。
今だって、そんな世界は存在してるんです。
わたしたちが直接知覚してる世界以外にだって、
いろんな世界があるってことなんだ。

猿森で、そんな世界をかいま見た後、
ウブド十字路に行きました。
王宮の門を守る石像が語ることには、
「この辺も、ずいぶん明るくなって、
やりにくくなったものです」。
もう、突然石像が話しかけてきても驚きません。
ずいぶん都会的になってきたウブドですが、
こっちの世界とあっちの世界をむすぶドアは
まだまだあるみたいです。

Feb.20.2009


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